北の駅 7つの駅の叙景
北海道の駅は美しい。地元贔屓というわけではない。おそらく正しい。これは気候が厳しく、人口密度の少ない北海道にあって、公共財の貴重な存在感が、年月を経ることで醸し出されてくる特有の味わいがあるからである。いくつもの厳しい冬を過ごした駅舎には、自然と重みと貫禄が備わる。そして、そんな駅の風景は、北海道の景色にとても映える。 しかし、近年では、そんな駅たちも、次々と姿を消しつつある。経年劣化から駅舎が取り壊され、とってかわった駅舎は、鉄道会社の財政事情により、古い車掌者や有蓋貨車を使いまわした画一的なものに置き換わっている。北の駅の風景は急速に失われつつある。 当ページでは、管理人お気に入りの駅を7つピックアップし、その姿を紹介したい。 (2017年5月11日) ポップアップ対応で、左クリックにより大画像を示すようになりました。 |
室蘭線北舟岡駅。2014年11月14日訪問。伊達紋別から室蘭方面に一つ進んだ駅。管理人が幼少の頃に持っていたお気に入りの本にこの駅の写真があった。伊達市の住宅地の尽きたところ、海岸段丘に並ぶ住宅の横の斜面を下ってゆくと、広大な太平洋をバックに駅はある。訪問したときは、風速10m気温0℃。夕陽があたり一面をオレンジ色に染めてゆく中で、荒波が打ち砕けていた。 | ||
根室線厚床駅。2015年9月21日訪問。瀟洒な三角形の屋根が印象的な無人駅。かつてはこの駅から標津線が分岐していた。それ以前は簡易軌道の起点として賑わっていた。今は小さな根室市内の集落に面し、前後に平原が広がっている。駅前の広場からは、標津線代行バスが列車から乗り継げるように発着している。列島最東端の根室が迫るが、空も大地も果てしなく広がっている。 | ||
札沼線豊ケ岡駅。2015年10月17日訪問。ひたすら石狩平野を走る札沼線が、一瞬だけ樺戸丘陵に入り、山の世界を垣間見せる石狩月形-札比内間。野山の中を走っていると、その中に突如、小さな駅が現れる。停車した列車から見渡しても美しい林が続くのみ。付近の住民の請願により1960年に設けられた豊ヶ岡駅。管理人が初めてこの駅を列車内から見たのはいつだろう?自分の写真で残っているのは1983年のもの。それ以来、付近の風景は変わっていない。この駅では、30年の歳月は静かに過ぎ行きたに違いない。 | ||