ヴァレーズ
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チューニング・アップ 交響詩「アメリカ」 ポエム・エレクトロニク アルカナ ノクターナル 暗く深い眠り(アントニー・ボーモン編曲 管弦楽版) 暗く深い眠り(オリジナル版) オフランド ハイパープリズム オクタンドル アンテグラル エクアトリアル イオニザシオン(電離) 密度21.5 砂漠 バージスの踊り シャイー指揮 コンセルトヘボウ管弦楽団 プラハ・フィルハーモニー合唱団 ASKOアンサンブル S: レナード ドランシュ B: ディーズ p: ケルドンキュフ fl: ズーン レビュー日:2010.5.1 |
★★★★☆ アメリカ現代音楽の象徴、ヴァレーズの諸作を収録
グラモフォン賞を受賞したリッカルド・シャイーを中心とするアーティストによるエドガー・ヴァレーズ(Edgar Varese 1883-1965)の作品集。録音は1992年から98年。収録曲はチューニング・アップ、交響詩「アメリカ」、ポエム・エレクトロニク、アルカナ、ノクターナル、暗く深い眠り(管弦楽版とオリジナル版)、オフランド、ハイパープリズム、オクタンドル、アンテグラル、エクアトリアル、イオナイゼーション(電離)、密度21.5、砂漠、バージスの踊り。 ヴァレーズはフランスで生まれた。数学と自然科学を勉強した後、指揮を学び、さらに作曲活動も開始する。1915年に渡米、1919年にアメリカに帰化し、現代アメリカ音楽を探求。プロコフィエフより年上だった彼がなぜこれほど前衛性にのめりこんだかは分からないが、その作品はまったく自由な様式で、リズム、音色の追求にほとんどの精力が注がれている。 象徴的作品と言えるのが13人の奏者による2組の打楽器のために書かれた「電離」で、概念として「音楽」と考えられるか、あるいはもっと広義の芸術の1ジャンルなのか、答えを出せる人はいないだろう。一つ、確かなことは、楽器を用いていることぐらいである。 親しみやすいものとして、ソプラノ独唱とピアノのための「暗く深い眠り」。これは短い曲だが退廃的な美が漂っていて聴き味がある。そして、フルート・ソロのための「密度21.5」。退廃的な雰囲気に満ちていて、効果音的サウンドトラックのようにも聴こえる。ちなみに21.5は白金の密度。 管楽器と打楽器のための「顕微鏡」、交響詩「アメリカ」、オーケストラのための「アルカナ」、室内オーケストラのための「積分」、ソプラノ独唱と管弦楽のための「金属」がこの作曲家の代表作とされているところ。1937年の作品である「合唱付の交響曲」は収録されていない。録音は優秀。演奏も精密に行われている。 |