シルヴェストロフ
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ピアノのためのバガテル 弦楽合奏のためのエレジー~マリナ・カピッツァに捧ぐ 弦楽合奏のための「スティル・ミュージック」~マンフレード・アイヒャーに捧ぐ 弦楽合奏のための「別れのセレナーデ」 ~イワン・クラヴィツに捧ぐ 弦楽とピアノのための「使者」~ラリッサ・ボンダレンコに捧ぐ 2つのディアローグとあとがき~アルヴォ・ペルトに捧ぐ p: シルヴェストロフ リュビモフ ポッペン指揮 ミュンヘン室内管弦楽団 レビュー日:2013.10.21 |
★★★★★ 時間を静止させる音楽
ウクライナの作曲家ヴァレンティン・シルヴェストロフ(Valentin Silvestrov 1937-)の作品を収めた2006年録音のアルバム。シルヴェストロフの70歳を記念してリリースされたもので、この作曲家の作品を伝える代表的なアルバムの一つと言っていいだろう。収録曲と演奏者は以下の通り。 1-14) ピアノのためのバガテル 15) 弦楽合奏のためのエレジー 16-18) 弦合奏のための「スティル・ミュージック」 19-20) 弦楽合奏のための「別れのセレナーデ」 21) 弦楽とピアノのための「使者」 22-24) 2つのディアローグとあとがき 1-14) ピアノ:シルヴェストロフ 15-20) ポッペン(Christoph Poppen 1956-)指揮 ミュンヘン室内管弦楽団 21-24) ピアノ:アレクセイ・リュビモフ(Alexei Lubimov 1944-) ポッペン指揮 ミュンヘン室内管弦楽団 高名な批評家ポール・グリフィス(Paul Griffiths 1962-)氏は、シルヴェストロフの作品を、以下の様に表現している。「シルヴェストロフの音楽において、時間は真っ暗な湖である。水はかろうじて動くのだが、過去は立ち去ることを拒む。そこにあり続けるために、一本のオールが、不規則にゆっくりと水をかいている・・」 この表現は、さすがにこれらの音楽をよく言い表したものだと思う。音楽というのは、時間軸を利用した芸術である。時間をいかに使って、音場を構成していくか。連絡させるか、途切れされるか。組み合わせるか、引き離させるか。人の短期記憶(例えば、直前の印象を用いた対位法)、中期記憶(例えば、第4楽章から第1楽章の回想)、長期記憶(例えば、和音など既出音楽価値の踏襲)といったものを、あらたに組み直していく作業に他ならない。このうち、シルヴェストロフの音楽では、短期、中期の記憶というものが、ほとんど無限に希釈されたような世界が広がっている。 「ピアノのためのバガテル」を聴いてみよう。美しく静謐な音楽。だが、この音楽は時間を進めることをこばむ。瞬間の現出とともに、その瞬間が永遠に続くような不思議な世界。自分の周りの世界の時間が沈静化していって、周辺から隔離されていくような感触。実に不思議な体験だ。 もう一つ加えると、彼の音楽では「長期記憶」は活用される。しかし、これも実に不思議なのだ。とりあえず、そう、トラックの16)~20)の弦楽合奏のための作品を聴いていよう。再び訪れる静謐な世界。弦楽合奏が夢見るような美しい旋律を奏でる。「ああ、これはどこかで聴いたことがあるような気がする。どこだったっけ」。しかし、それは明瞭な意識化に至る前に、どこかにすっと消えてしまう。「あれ、ここ、以前来たことがあるんだけれど」と思っていると、今度は、また違う記憶が少し呼び起され、それも、はかなく消えていく。 かつての印象として人の「長期記憶」に残っている古典音楽のフレーズに共通するものを、断片的に提示し、そしてまた闇へと戻っていく。なんとも不思議で、暖かい夢の中で、ひたすら微睡(まどろ)んでいるような時間。このような体験を与えてくれるもの、これが「音楽」だったろうか・・・? 実に不思議な感触を味わう、静謐で、ひたすら美しい音楽です。 |
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ヴァイオリンと管弦楽の為の交響曲「献呈」 ヴァイオリンとピアノのための「ポスト・スクリプツム」 vn: クレーメル コフマン指揮 ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団 p: サハロフ レビュー日:2014.1.22 |
★★★★★ クレーメルの鋭敏な感性が映えたシルヴェストロフ
現代を代表するヴァイオリニスト、ギドン・クレーメル(Gidon Kremer 1947-)によるウクライナの作曲家ヴァレンティン・シルヴェストロフ(Valentin Silvestrov 1937-)の作品を集めたアルバム。収録曲は以下の2曲。 1) ヴァイオリンと管弦楽の為の交響曲「献呈」 2) ヴァイオリンとピアノのための「ポスト・スクリプツム」 「献呈」では、やはりウクライナの作曲家であるローマン・コフマン(Roman Kofman 1936-)指揮ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団との、「ポスト・スクリプツム」ではロシアのピアニスト、ヴァディム・サハロフ(Vadim Sacharov 1946-)との共演。録音はいずれも1995年に行なわれているが、「献呈」はライヴ録音。 クレーメルは現代を代表するヴァイオリニストであるが、同時代の作曲家の作品に対しても鋭い嗅覚を持っていて、それらの作品を世に伝える伝道師的な役割を担うことが多い。当盤も、いかにも彼らしい着目を感じさせるプログラムだ。 シルヴェストロフの音楽は、やはりクレーメルが積極的に取り上げたペルト(Arvo Part 1935-)やシュニトケ(Alfred Schnittke 1934-1998)に通じるところが多い。現代音楽でありながら、和声的には古典的な「調和」を性向し、かつ特有の退廃感を持つ。しかし、シルヴェストロフの音楽で面白いのは、そのことに加えて、異様に美しい、「かつて聴いたことがあるような」不思議な、聴き手の記憶にそっと触れるようなメロディの破片が与えられることにある。そう、断片と呼んだのは、それはメロディと呼ぶには、あまりに短いためである。それが、ペルトとの大きな相違点である。 ヴァイオリンと管弦楽の為の交響曲「献呈」を聴くと、冒頭は、マーラー(Gustav Mahler 1860-1911)の後期作品の延長線上にあるかのような、不安、不穏といった空気を満たしている。曲が進むと、その暗闇の中から、ふと、自分が子供のころを思い出すような、懐かしく暖かい響きが表れてくる。例えば、第2楽章後半の、このCDではトラック4が割り当てられているアンダンティーノの部分。その儚いような、すぐ壊れてしまいそうな、美しさの印象的なこと。そして、そのフレーズは、何かをはっきり形作る前に、どこかにそっと立ち去ってしまう。 ヴァイオリンとピアノのための「ポスト・スクリプツム」は、更にその傾向が顕著で、むしろその部分が「主」の役割を果たした音楽と言えそうだ。クレーメルがたびたび共演してきたサハロフとの静謐な呼吸を感じさせる交錯が、いよいよその雰囲気を高めている。なんともノスタルジックでロマンティックな音楽だ。 また、併せて、全体的に、曲がどちらに進んでいるかわからないような、そこにとどまる様なベクトルを感じさせることも、シルヴェストロフの音楽の特徴で、特有の夢想感のようなものを、聴き手は味わうことになる。 このような楽曲において、クレーメルは多くの人にとって「信頼のおけるアーティスト」であると思う。彼は、現代のボーダレス的な音楽に、十分な実績があり、その経験を活かして、確信的なアプローチを獲得する人なのだ。彼は、時としてあえて「汚い音」を出し、音楽の苛烈さを表現するが、特にヴァイオリンと管弦楽の為の交響曲「献呈」では、「闇」と「儚い光」を巧妙に描き分けることに、彼の表現方法は十分成果を上げている。また、オーケストラも好演と言えるだろう。ライヴ録音なので、スタジオであれば、完成度を一層上げることも可能と思わせるところは残るが、当演奏も音楽の雰囲気を、よく捉えらており、若干、精度という点で、今一つなところがないわけではないが、問題は小さい。特に、この作品は「協奏曲」とは銘打たれず、「交響曲」とされたことは、管弦楽とヴァイオリンの対等性や相補性を示すと思うが、この演奏は、その意図をよく消化しているように思える。 全般に、現代を代表するアーティストが、現代を代表する作曲家の作品を伝えるというリアリティーを感じさせる出来栄えで、楽曲自体の美しさもあって、十分に満足させてくれるアルバムだ。 |
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素朴な音楽 使者 2つのワルツ 4つの小品 2つのバガテル キッチュ・ムジーク p: ブルーミナ レビュー日:2014.7.15 |
★★★★★ 夢の世界をさまよい続けるような、ノスタルジックなピアノ・アルバム
なんと不思議な、ノスタルジックでしかし穏やかで儚いピアノ曲集だろう。何かしら、人から、攻撃的な感情の一切を取り払ったような、安寧な世界。その辺縁も定かならぬ領域だ。 ロシアのピアニスト、エリザベータ・ブルーミナ(Elisaveta Blumina)による、ウクライナの作曲家ヴァレンティン・シルヴェストロフ(Valentin Silvestrov 1937-)のピアノ作品集。2011年録音。収録曲は以下の通り。 1-7) 素朴な音楽(ワルツ#1 夜想曲#1 おとぎ話 牧歌 夜想曲#2 前奏曲 ワルツ#2) 8) 使者 (ピアノ版) 9-10) 2つのワルツ op.153(アレグロ・アッサイ アレグレット) 11-14) 4つの小品 op.2(子守唄 パストラーレ バガテル 後奏曲) 15-16) 2つのバガテル op.173 17-21) キッチュ・ムジーク あるいは、これらの音楽は、夢を表現しているようにも思う。 夢の世界では、思いがけない人や風景とよく出会う。小さいころに見た何かの風景、小学校以来会っていない同級生、別に印象深い風景でも、仲の良かった友達でもないのに、突然夢の中に出てくることがある。 何かの論文で読んだことがある。人の記憶量というのはたいへん膨大なものであるため、「普段から使う」記憶と、「使わない」記憶は、別の領域に格納されている。このうち、「使わない」記憶は、奥深いところ、よほどのことがない限り思い出さない記憶の深部に置かれているのだけれど、眠っている間に、脳は、これらの古い記憶を、再配置する作業を行っているのだそうである。その搬出搬入作業の際中に、たまたまセンサーの付近を通過した「記憶」が、夢として視覚的に意識されるそうだ。なので、夢の中では、しばしば、なんの脈絡もなく、過去の記憶の断片が、突然現れるのだそうである。 私が、シルヴェストロフのこのアルバムを聴いて、「夢を表現しているようだ」と思ったのは、そのような、意識対象の出現過程が、上記で説明された夢にそっくりだからである。どこかで聴いたことがあるフレーズ、なんとなく記憶の端に引っかかっていたメロディ、それらが、霧の中からふっと表れては、それが何だったかを思い出す前に、すっと消えていく。なんとも幻想的でノスタルジック。 例えば、幻想的な楽想の中から、ふと、ドソミソのような、古典的なアルベルティ・バス(Alberti-Bass)が聞こえてきて、調和的な音階が奏でられ、メロディの断片、あるいは古典的な移行部のような何かが聴こえる。あれはモーツァルト?それともクレメンティ?誰かの曲のような、ちょっと違うような、けれども聴いたことがあるような・・と記憶の断片を辿ろうとしても、それはどうも一つの所に繋がっていない・・。そのうちに、メロディは静かに霧散するように形を失っていき、私も微睡みの世界に連れ戻される。 静謐で、どこか暖かく霧が立ち込めたような世界。方向を失いながらも、心は安寧を満たしていく。実に不思議な音楽だ。 以上の雰囲気を味わってみたい、という方には、ぜひオススメしたいアルバムだ。どの曲も同じ気配を持っているが、特に私が気に入った作品として「使者」という曲を挙げておこう。 |
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A Tribute to Silvestrov p: フェルツマン レビュー日:2022.4.4 |
★★★★☆ シルヴェストロフの音世界に誘う一枚
アメリカに拠点をおいて活躍しているロシアのピアニスト、ウラディーミル・フェルツマン(Vladimir Feltsman 1952-)による「A Tribute to Silvestrov」と題されたアルバム。ウクライナの作曲家、ヴァレンティン・シルヴェストロフ(Valentin Silvestrov 1937-)の作品を中心に、様々な作曲家の作品や、シルヴェストロフが編曲を手掛けた作品が、集められている。収録内容は下記の通り。 1) C.P.E.バッハ(Carl Philipp Emanuel Bach 1714-1788) ピアノ・ソナタ イ長調 Wq.65/32, H.135 から 第2楽章 アンダンテ・コン・テネレッツァ 2) シューベルト(Franz Schubert 1797-1828) アンダンテ イ長調 D.604 3) シューベルト/シルヴェストロフ編 ワルツ ト長調 D.979 「結婚ワルツ」 4) シルヴェストロフ キッチュ・ミュージック(Allegro vivace Moderato Allegretto Moderato Allegretto) 5) D.スカルラッティ(Domenico Scarlatti 1685-1757) ソナタ ロ短調 K.87 6) ショパン(Frederic Chopin 1810-1849) 練習曲 変ホ短調 Op.10-6 7) シルヴェストロフ 3つの小品 から 第3曲 メロディ 8) シルヴェストロフ メロディ 9) ワーグナー/シルヴェストロフ編 ポストリューディア 2つのディアローグとあとがき から 第2曲 後奏曲 10) シルヴェストロフ 2つのワルツ 11) シューマン ダヴィット同盟舞曲集より 第14番 変ホ長調 第2番 ロ短調 12) シルヴェストロフ 使者(ピアノ版) 2004年の録音。 フェルツマン自身、取り上げた作品の共通項として、楽曲が終了した直後に、完璧な美が現出する作品、と述べている。共通項としては、かなり主観的なものではあるが、聴いてみると、どの曲も、懐古的な響きがあり、遠い昔に聴いた音楽の断片をふと思い起こさせるような雰囲気を持っている。 フェルツマンも、その点を心掛けて、やや瞑想的に、あえて強い焦点や、インパクト・ポイントを設けないようなタッチで、これらの楽曲を弾いており、全般に環境音楽ふうになった印象も持つ。 とはいえ、シルヴェストロフという作曲家の作品がもつ、不思議な作用、それこそ、聴き手の記憶の端っこに眠っているような、聴いた瞬間、どこかで聴いたことがあるような気持ちにさせる効果は、アルバム全体を通して伝わってくる。また、他の作曲家の作品の中に、似たフレーズがあることも、ちょっと思い出させてくれる。これらの音楽は、聴き手の気持ちを落ち着かせ、沈静化させるダウナー系のものとして解釈されており、そのことが、「A Tribute to Silvestrov」というタイトルの通り、シルヴェストロフの作品がもつ精神世界と、おそらく高い親近性を持っているものと思う。 個人的に、特に印象に残るのは、キッチュ・ミュージックの第3楽章にあたるAllegretto Moderatoで、美しさ、懐かしさ、切なさといったものが、音楽芸術の枠の中で、巧みに表現されていて、感傷的である。また、シューベルトのめったに聴くことのないワルツも、シルヴェストロフの手ほどきによって、沈静化の作用を付与された感があり、面白い。 気持ちを落ち着けてくれる音楽であり、いつの間にか、聴き手を過ぎさりし日の想い出に、誘うようなアルバムになっている。 |
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夕べの祈りのための歌 詩篇と祈り 2つのダヴィッド詩篇 2つのスピリチュアル・リフレインズ 2つのスピリチュアル・ソングズ 3つのスピリチュアル・ソングズ ゴブディッチ指揮 キエフ室内合唱団 レビュー日:2019.4.10 |
★★★★★ 現代版ロシア正教聖歌を思わせる、シルヴェストロフの「祈りの音楽」
ウクライナの作曲家、ヴァレンティン・シルヴェストロフ(Valentin Silvestrov 1937-)が2000年代に書いたアカペラによる祈りの音楽集。ミコラ・ゴブディッチ(Mykola Hobdych 1961-)指揮、キエフ室内合唱団の演奏。収録曲は以下の通り。 晩課のための歌 1) Come, Let Us Worship 2) World Of Peace 3) Holy God 4) O Virgin Mother Of God 5) Today You Release (Your Servant) 6) Many Years (Vivat) 7) Silent Night 詩篇と祈り 8) Praise God All Ye Nations 9) Lord, My Heart Swells Not With Pride 10) Lord Jesus Christ 11) Blessed Is He 12) O King Of Heaven 13) With The Saints Grant Eternal Peace 14) Our Father 2つのダヴィッド詩篇 15) To You, O Lord, I Call 16) The Lord Is My Shepherd 2つのスピリチュアル・リフレインズ 17) Do Not Forsake Me 18) Alleluia 2つのスピリチュアル・ソングズ 19) Cherubic Hymn 20) Many Years (Vivat) 3つのスピリチュアル・ソングズ 21) Cherubic Hymn 22) Many Years (Vivat) 23) Alleluia 2008年の録音。 シルヴェストロフ特有の語法による、声のみからなる音空間が現出している。その音楽は、古典的な和声を用いたグレチャニノフ (Alexander Grechaninov 1864-1956)を思わせるロシア正教会の聖歌の伝統を引き継いでいるようにも感じられるが、そのモチーフは断片的であり、しっかりとした節を作る前に、響きの中に埋もれていく。たっぷりした残響の中で、浮き沈みする人声は、どこか郷愁的で退廃的でありながら、向こうから聴き手に近づいてくるような親しみやすいものではなく、聴き手の側にも積極的なかかわり方を求めるだろう。そういった意味で万人向けとはとても言えないが、その固有の美しさは、シルヴェストロフの音楽の芸術性を刻印したものに違いない。 シルヴェストロフの音楽は、古典的な音楽の流れを感じさせるモチーフが、断片的な信号灯のように過ぎゆき、その背景に静寂と暗闇が備わっている。それは、不安さと併せて安寧を感じる不思議な世界だ。聖ムィハイール黄金ドーム修道院で録音されたと記されているが、その豊かな残響は、モチーフが流れ去るのをひととき留め置き、その間に次の何かが聞こえてくる。その繰り返しが、聴き手の気持ちに宗教的な暗示をかける。教会音楽とは元来そのようなものであるが、その心地よさは暖かみによってもたらされているものだろう。当盤は、人の声に伴う音の輪郭の柔らか味が、残響によって強調されており、前述の効果を高めている。 楽曲は、すべてアカペラであるが、合唱のみのものと、ソリストを1人以上置くものとが混合している。World Of PeaceやLord, My Heart Swells Not With Pride 、Alleluiaといった楽曲ではソリストの輝かしい歌唱が印象を強めている。また「詩篇と祈り」は、どこか風景描写性を感じさせる楽曲が並んでいることが興味深い。 どこか、日常的な時の流れから切り離されたような非日常感、暗闇と安寧、不思議な環境補完性、そういったピースが、これらの楽曲を形作り、演奏と録音の見事さが、その魅力を聴き手に伝えてくれる。 |