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ラッブラ



交響曲

交響曲 第4番 第10番 第11番
ヒコックス指揮 BBCウェールズ・ナショナル管弦楽団

レビュー日:2007.8.27
★★★★☆ ラッブラの真価を知らしめる歴史的名盤
 ヒコックス指揮のBBCウェールズ・ナショナル管弦楽団によるエドムンド・ラッブラ (Edmund Rubbra 1901-1986)の交響曲集。彼らはラッブラの全11曲の交響曲を録音しているが、当盤にはそのうち第4番、第10番、第11番が収録されている。93年から94年にかけて録音されたもの。
 ラッブラは近代イギリスの作曲家の一人であるけれど、ほとんどその作品が取り上げられることはない。ちょっと耳にするものといえば、ブラームスのピアノ独奏曲「ヘンデルの主題による変奏曲とフーガ」をオーケストラに編曲したものがやや有名で、これは録音も結構ある。だがオリジナル曲となるとなかなか思いつくものがない。教会旋法の達人だったようで、合唱曲はそこそこ知名度があるらしい。
 そんな中でヒコックスを起用しての交響曲全曲録音とはいかにもシャンドスならではの企画だ。さて聴いてみると、なかなか掴みどころがないというのが正直なところ。モリスに対位法を、ホルストに作曲法を師事したとのことなので、音楽理論についてはきちんとしているようだ。旋律の巡回も論理的である。放浪感はバックスを思い起こすけれど、バックスの交響曲ほど起伏がなく、なだらかな丘陵地帯を延々と歩いていくような趣である。ヴォーン・ウィリアムズやディーリアスを思い起こす人が多いのではないだろうか。なかで印象に残るところといえばもっとも規模の大きい交響曲第4番で、特に第3楽章以降のほのかなぬくもりを感じる旋律の反復がなかなか心地よい響きだと思う。とはいえ、未知の作曲家を知る貴重な録音である。


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