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フス



協奏曲

フス ピアノと管弦楽のための協奏曲  シェリング ピアノと管弦楽のための幻想組曲
p: ホブソン ブラビンス指揮 BBCスコットランド交響楽団

レビュー日:2006.7.29
★★★★☆ アメリカ生まれのロマン派ピアノ協奏曲が2曲。
 ハイペリオンの隠れたロマン派のピアノ協奏曲を発掘するシリーズの16枚目。ピアノはイアン・ホブソン、ブラビンス指揮のBBCスコットランド交響楽団の演奏。
 ヘンリー・ホルデン・フス(Henry Holden Huss 1862-1953)はニューヨーク生まれのアメリカの作曲家。「ハス」と表記されることもある。音楽教育者でもありピアニストでもあった人物で、オルガン奏者組合のを設立した。
 アーネスト・シェリング(Ernest Schelling 1876-1939)はパデレフスキに師事したニュージャージー生まれの神童としても名を馳せたピアニスト。43歳のとき交通事故で手を負傷してから作曲と指揮にその音楽活動を移した。彼がニューヨークフィルと行なったピクチャやデモンストレーションを用いた子どもへの音楽教育プログラムはたいへん好評で現在も続いているという。
 どちらもアメリカのロマン派ピアノ協奏曲ということで、ナイスな組み合わせだ。
 フスの「ピアノと管弦楽のための協奏曲」は調性や和声も古典的で、柔らかく明るい作品でたいへん聴きやすいもの。特に2楽章のピアノと木管の掛け合いが美しく、印象に残ります。素朴、純朴、爛漫といった感じの曲だ。
 シェリングの「ピアノと管弦楽のための幻想的組曲」はきちんとした4楽章構成のピアノ協奏曲。冒頭はやや重い諸相を見せますが、すぐに明るい雰囲気になり、フスの曲に似ている。3楽章は淡々とした時の移ろいを感じさせてくれるような、郷愁がある。4楽章は「ヴァージニア・リール」と題されており、あの有名な旋律が随所に聴かれます。これは作曲者がヨーロッパにいたころ、故郷を思って作曲したとのことで、なるほど、という感じ。
 ピアノのイアン・ホブソンは1981年のリーズ国際コンクールで優勝したピアニスト。トリルなどが細やかで美しく、これらの楽曲に適した好感あふれる演奏となっている。


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