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ホルブルック



協奏曲

ホルブルック ピアノ協奏曲 第1番 「グイン・アプ・ヌッ ドゥの歌」  ウッド ピアノと管弦楽のための協奏曲
p: ミルン ブラビンズ指揮 BBCスコットランド交響楽団

レビュー日:2006.7.29
★★★★☆ イギリスのロマン派ピアノ協奏曲を2曲収録
 ハイペリオンの隠れたロマン派のピアノ協奏曲を発掘するシリーズの23枚目。
 ジョセフ・ホルブルック(Joseph Holbrooke 1878-1958)は「コックニーのワーグナー」と評された作曲家で、20世紀半ばに彼の名を冠したジャズ・トリオが結成されており、そちらの方が知名度があるかもしれない。エドガー・アラン・ポーの作品にインスパイアされた一連の作品群がある。8曲の交響曲をはじめ結構な数の作品を遺したが、今日では演奏機会は少ない(聴衆に忍耐をしいるものだったため、という評もある)。
 ホルブルックのピアノ協奏曲には「グイン・アプ・ヌッドゥ(Gwyn ap Nudd')の歌」という副題がついている。ヌッドゥの子グウィンという意でアーサー王物語をはじめとるケルト伝承に登場する。シェークスピアの戯曲にもでてくるが、このピアノ協奏曲は、細かく劇中のグインの歌をピアノ協奏曲の形で表現したものである。
 3楽章構成となっているもののさらに各シーン毎に細分化されており、このアルバムもそれに応じて全曲が22のトラックにわけられて編集されている。このような曲だけにありがたいサービスだ。構成も自由で描写的なシーンも多い。最後の「歌」の一幕は華やかで映画のエンディングのように壮麗。
 ハイドン・ウッド(Haydn Wood 1882-1959)は幼少をマン島で過ごしたイギリスのヴァイオリニスト兼作曲家。当時は、歌曲で成功を収めていた。オーケストラ作品は軽音楽的傾向が強く、実際彼はミュージカルを手がけるようになる。
 ピアノ協奏曲は一般に代表作と考えられるもの。華やかでこちらの方が曲としてはなじみやすいかもしれない。終楽章の大きな広がりは幻想的で見事。(いかにもノリは軽いが)
 ハミシュ・ミルンのピアノは、ブラビンス指揮のBBCスコットランド交響楽団ともども堅実な表現で曲を再現。


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