ドリーブ
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ドリーブ 「コッペリア」組曲 ショパン(ダグラス編) レ・シルフィード オッフェンバック(ロザンタール編) バレエ音楽「パリの喜び」(抜粋) グノー 歌劇「ファウスト」のバレエ音楽 チャイコフスキー 「眠れる森の美女」組曲 ポンキエッリ 時の踊り カラヤン指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 レビュー日:2026.8.3 |
| ★★★★★ 「帝王」カラヤンの威風とエンターテーメント精神を伝える録音
カラヤン(Herbert von Karajan 1908-1989)がベルリン・フィルハーモニー管弦楽を指揮して録音した、良く知られた旋律を含むバレエ音楽を集めた2枚組アルバム。収録曲は下記の通り。 【CD1】 オッフェンバック(Jacques Offenbach 1819-1880)/ロザンタール(Manuel Rosenthal 1904-2003)編 バレエ音楽「パリの喜び(Gaite Parisienne)」(抜粋) 1971年録音 1) 序曲(Overture) 2) 第1曲 アレグロ・ブリランテ (Allegro brillante) 3) 第2曲 ポルカ (Polka) 4) 第6曲 ブラジル人の登場(Entree du Bresilien) 5) 第8曲 ワルツ (Valse) 6) 第9曲 行進曲 (Marche) 7) 第10曲 ワルツ (Valse) 8) 第11曲 アレグロ・ヴィーヴォ (Allegro vivo) 9) 第12曲 ワルツ (Valse) 10) 第13曲 アレグロ・ヴィヴァーチェ・ミステリオーソ・レント (Allegro vivace - Misterioso – Lento) 11) 第14曲 ワルツ (Valse) 12) 第15曲 アレグロ・ヴィーヴォ (Allegro vivo) 13) 第16曲 カンカン (Cancan) 14) 第17曲 ポルカ (Polka) 15) 第18曲 (タイトル等なし) 16) 第22曲 ヴィーヴォ (Vivo) 17) 第23曲 舟歌 (Barcarolle) グノー(Charles Gounod 1818-1893) 歌劇「ファウスト(Faust)」 バレエ音楽 1971年録音 18) アレグレット:テンポ・ディ・ワルツ(Allegretto: Tempo de valse) 19) エレーヌと若いトロイアの娘たち - クレオパトラと若いヌビアの娘たち)(Helene et les jeune Troyennes - Cleopatre et les jeunes Nubiennes) 20) 若いヌビアの娘たちの登場(Entree des jeunes Nubiennes) 21) クレオパトラのヴァリアシオン(Variation de Cleopatre) 22) 若いトロイアの娘たちの登場(Entree des jeunes Troyennes) 23) エレーヌのヴァリアシオン(Variation d'Helene) 24) フィナーレ - フリネの登場(Final - Entree de Phryne) 25) 第2幕のワルツ(Waltz: Tempo di Valse) チャイコフスキー(Pyotr Ilyich Tchaikovsky 1840-1893) 「眠れる森の美女(The Sleeping Beauty)」組曲 op.66a 26) 序奏 - リラの精(Introduction. La Fee des lilas) 27) パ・ダクシオン:ローズ・アダージョ(Pas d'action. Adagio) 28) パ・ド・カラクテール:長靴をはいた猫と白い猫(Pas de caractere. Le Chat botte et la Chatte blanche) 29) パノラマ(Panorama) 30) ワルツ(Valse) 【CD2】 ドリーブ(Leo Delibe 1836-1891) バレエ組曲「コッペリア」 (Coppelia: Ballet Suite) 1961年録音 1) 前奏曲とマズルカ(Prelude et Mazurka) 2) スワニルダの情景とワルツ(Scene et Valse de Swanhilde) 3) チャルダッシュ (Csardas) 4) 人形の情景とワルツ(Scene et Valse de la Poupee) 5) バラード(Ballade) 6) スラブの主題による変奏曲(Variation sur un theme slave) ショパン(Frederic Chopin 1810-1849)/ダグラス(Roy Douglas 1907-2015)編 「レ・シルフィード」 (Les Sylphides) 1961年録音 7) 前奏曲(Prelude) 原曲:前奏曲 第7番 イ長調 op.28-7 8) 夜想曲(Nocturne) 原曲:夜想曲 第10番 変イ長調 op.32-2 9) ワルツ( Valse) 原曲:ワルツ 第11番 変ト長調 op.70-1 10) マズルカ(Mazurka) 原曲:マズルカ 第23番 ニ長調 op.33-2 11) マズルカ(Mazurka) 原曲:マズルカ 第44番 ハ長調 op.67-3 12) 前奏曲(Prelude) 原曲:前奏曲 第7番 イ長調 op.28-7(再登場) 13) ワルツ( Valse) 原曲:ワルツ 第7番 嬰ハ短調 op.64-2 14) ワルツ( Valse) 原曲:ワルツ 第1番 変ホ長調 op.18 15) ポンキエッリ(Amilcare Ponchielli 1834-1886) 歌劇「ジョコンダ(La Gioconda)」より「時の踊り(Dance of the Hours) 」 1970年録音 音源は1999年にデジタル・リマスターされたもの。元の録音品質が良いこともあり、とても聴きやすい。オッフェンバック、ショパン、ポンキエッリに関しては、当録音がカラヤン唯一のものとなる。 当アルバムに収録された楽曲たちは、「通俗的」とも捉えられかねないもので、例えばフルトヴェングラー(Wilhelm Furtwangler 1886-1954)やクレンペラー(Otto Klemperer 1885-1973)にとっては、これらの音楽は、「見向きもしない」ジャンルであった。しかし、カラヤンはこうした楽曲を決して「格下の音楽」として扱うことはなかった。カラヤンには「通俗的な曲こそ、最高のオーケストラが最高の技術で演奏しなければ、単なる退屈なBGMになってしまう」という信念があった。 だから、ここで聴く楽曲たちは、非常に輝かしく美しいサウンドで奏でられている。カラヤンが、他の名曲と同じ熱量と完璧な統率力をもって、録音に臨んだ結果として、見事な結実を示している。 実際、そんなことを書いておきながら、私もこれらの楽曲を聴く機会は少ない。これは、年数を重ねたクラシック音楽ファンの間で、ある程度共通の事象だろう。しかし、カラヤンの引き出すサウンドで彩られた楽曲たちは、そこに一種の高い薫りをまとったように、その姿をしなやかに整え、芸術と呼ぶに相応しい姿を立ち昇らせるのである。 この録音を聴くと、カラヤンが「帝王」と呼ばれた理由がよくわかる。通俗曲を名曲に仕立てて、新しいメディアを介して大衆の期待に応える。自分のカリスマ性を把握し、それにより芸術とエンターテーメントの両面で、聴き手を納得させた。 良く知られた楽曲たちであるが、若干補足すると、ショパンの「レ・シルフィード」は、当初ショパンの楽曲を元にグラズノフ(Aleksandr Glazunov 1865-1936)が編曲したものをイギリスの作曲家ダグラスがさらに改編したもの。現在では、このダグラス版が一般的。グノーの歌劇「ファウスト」のワルツ音楽は、歌劇「ファウスト」の初演時にはなかったもの。しかし、当時のパリ・オペラ座には、「劇中に必ず華やかなバレエのシーンを入れなければならない」という厳格なルールがあり、これに応じてグノーによって追加で挿入されたもの。全7編のバレエのための音楽が挿入されたのだが、それらを組曲化したものが収録されている。当盤では、さらに「ファウスト」初演時から存在した 「第2幕のワルツ」も加えられている。 オッフェンバックの「カンカン」は運動会の音楽、チャイコフスキーのワルツやポンキエッリの「時の踊り」はディズニー映画でもおなじみ(ワルツはディズニー映画「眠れる森の美女」の主題歌「いつか王子様が(Once Upon a Dream)」の原曲)。グノーの第2幕のワルツはフィギュア・スケートでもよく使用される。ドリーブの「スワニルダの情景とワルツ」の旋律も、聴けば、「ああ、この曲か」という人が大部分だろう。 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏は、低音に深みがあり、合奏音は柔軟だ。シームレスなバウンド感が素晴らしい。カラヤンのタクトはロマンティックで豊饒。そのサウンドも、ただ裾広がりになる一方ではなく、メリハリがある。推進力のほしい場面で引き出される迫力はさすがの一語。 良く知られた旋律の宝庫であるとともに、カラヤンの作品に対する真摯な姿勢が織り込まれた、「帝王」と呼ばれた巨匠の記録にふさわしいアルバムだ。 |
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