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チャドウィック



交響曲

交響曲 第2番 交響的スケッチ
クチャル指揮 ウクライナ国立放送交響楽団

レビュー日:2005.7.16
★★★★☆ “アメリカのドヴォルザーク” 的作曲家を紹介
 ジョージ・ホワイトフィールド・チャドウィック(George Whitefield Chadwick 1854-1931)は19世紀後半にヨーロッパで作曲技法を学んだアメリカの作曲家。1854年生まれだからマーラーの少し前ということになる。音楽史的にはメンデルスゾーンやシューマンから連なるヨーロピアン・オーケストレーションと思われるが、それ以外の要素・色彩が混ざる事で、独特の雰囲気を作り出している。
 ナクソスはこの作曲家の作品のレコーディングにクチャル指揮のウクライナ交響楽団を起用したのはなかなか面白い。ヨーロッパ的なスタンダードな面がしっかりとして、非常に聴き易い、馴染みやすい録音となった。
 楽曲を聴くと、多くの人がドヴォルザークを連想するかもしれない。実際「ヨーロッパの音楽理論にアメリカの要素を加え・・・」という資質は共通だ。それにしても、例えば交響的スケッチの第1曲「ジュビリー」はまるでスラヴ舞曲のようだし、第2曲「ノエル」のイングリッシュホルンはまるであの有名な家路のテーマのようだ。
 実際、この作曲家の作品は、あまりネームヴァリューがないとは言え、聴いてみると、ほとんど抵抗なく聴ける穏便さを持っている。そんななかなか触れることの出来ない、しかい聴いてみるとなかなかチャーミングなところを持ったこれらの作品を、ナクソスのような廉価レーベルがCD化してくれることは、この上ないサービスと思われる。


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