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ベネット



協奏曲

ベネット ピアノ協奏曲 第4番 カプリース  ベイシュ ピアノ協奏曲
p: シェリー シェリー指揮 BBCスコッティッシュ交響楽団

レビュー日:2008.1.18
★★★★☆ メンデルスゾーンに縁のあるイギリスの2人の作曲家の協奏曲
 ハイペリオンによるロマン派のピアノ協奏曲を発掘するシリーズ第43弾。今回はベネット(William Sterndale Bennett 1816-1875)とベイシュ(or ベイチ)(Francis Edward Bache 1833-1858)という二人のイギリスの作曲家の作品が収録された。収録曲はベネットのピアノ協奏曲第4番とピアノと管弦楽のためのカプリース、それにベイシュのピアノ協奏曲。ピアノと指揮はこのシリーズではおなじみのハワード・シェリー。オーケストラはBBCスコットランド交響楽団。録音は2006年に行われている。
 ベネットはピアノのヴィルトオーゾであり指揮でも高名な人物で、バッハ協会を設立したり「マタイ受難曲」のイギリス初演を行ったりしている。ライプツィヒでメンデルスゾーンに謁見し、弟子となっている。ベイシュはピアノ、ヴァイオリンの双方の名手だったようで、メンデルスゾーンの「エリア」の初演に参加している。ベネットの弟子であり、両者はメンデルスゾーンでも繋がっている関係ということになる。25歳の若さで結核のため亡くなった夭折の才人であった。
 両者の曲はシューマンの「前駆体」的位置づけがなされており、平板だけどメロディアスな旋律によって紡がれた作品とみてとれる。ベネットの第4協奏曲の第2楽章は本国では単独で演奏されるなど、比較的取り上げられることがあるそうだ。より作品として質が高いと感じられたのはピアノと管弦楽のためのカプリースで、華やかな演奏効果があり、曲の規模も手ごろに思われる。シェリーの演奏もまずは手堅い。ただ、強い個性のある楽曲ではないので、聴いた人の心に強く残るかと言えば、そうとは言えない感もある。


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