アルヴェーン
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アルヴェーン 組曲「グスタフ2世」 祝典序曲 ラウタヴァーラ カントゥス・アルクティクス~鳥と管弦楽のための協奏曲 ヤルヴィ指揮 エーテボリ交響楽団 レビュー日:2026.3.13 |
| ★★★★★ 録音時87歳、ネーメ・ヤルヴィの円熟した芸術
ネーメ・ヤルヴィ(Neeme Jarvi 1937-)指揮、エーテボリ交響楽団の演奏によるスウェーデンの作曲家、アルヴェーン(Hugo Alfven 1872-1960)と、フィンランドの作曲家、ラウタヴァーラ(Einojuhani Rautavaara 1928-2016)の管弦楽曲を収録したアルバム。収録内容の詳細は、下記の通り。 1) アルヴェーン 祝典序曲 op.25 ラウタヴァーラ カントゥス・アルクティクス op.61~鳥と管弦楽のための協奏曲 2) 湿原 (Suo / The Marsh) 3) 憂鬱 (Melankolia / Melancholy) 4) 渡り鳥(Joutsenten muutto / Swans Migrating) アルヴェーン 組曲「グスタフ2世」 op.49 5) 叙情的な風景 (Vision) 6) 間奏曲 (Intermezzo) 7) フェルディナンド皇帝の王室礼拝堂内(I Kejsar Ferdinands slottskapell) 8) 弦楽オーケストラのためのサラバンド(Sarabanda, for String Orchestra. Largamente) 9) 3本のファゴットのためのブーレ(Bourree, for Three Bassoons) 10) メヌエット (Menuett) 11) エレジー (Elegi) 12) ブライテンフェルト、戦闘画(Breitenfeld. Battle Painting) 2024年のライヴ録音で、録音時ヤルヴィは87歳ということになる。アルヴェーン、ラウタヴァーラともに、ヤルヴィにとって重要なレパートリーであり、長年の経験を感じさせるツボを押さえた表現と、のびやかな自在性のある響きが、心地よく満ちている。ライヴ録音とのことだが、ノイズ的なものは一切気にならない。演奏の完成度の高さと併せて、スタジオ録音と言われても、ほとんど疑う人はいないのではないか、というほどの出来栄えだ。 アルバムの構成が良くできている。両端に収録されているアルヴェーンの作品は、華やかなファンファーレに彩られた「祝典序曲」、17世紀の国王グスタフ2世をモチーフとした、壮麗なフィナーレを持つ典雅な組曲を配置するとともに、アルヴェーン作品と多くの対比点を持つラウタヴァーラの楽曲をその中心に据えている。 アルヴェーンが、保守的な手法で人間を描いたのに対し、ラウタヴァーラは、ミニマルミュージックや無調の手法で自然を描いた。ともに北欧的な情緒を持ち合あせながら、音楽の形や性向は、対立しており、そのことがプログラムとして演出性の高いものとなっている。 ラウタヴァーラの「カントゥス・アルクティクス」は、私の好きな作品で、ラウタヴァーらの書いた楽曲の中でも特に美しいものの一つだと思う。3つの楽章では、それぞれ「リミンカ湾の湿地に生息する多種多様な鳥」「ハマヒバリ (Shore Lark)」「オオハクチョウ (Whooper Swan)」のサンプリングされた声が用いられる(どの演奏であっても、用いられるサンプリング音源は共通のものに定めされている)。オーケストラが放つ北の空を思わせるいつ果てるともない響きと、鳥たちの声が、幻想的な世界を描き上げてゆく。ヤルヴィは、微分音を含めた輪郭の淡い音色を巧みに折り重ね、感動的な曲線美を演出している。特に第3楽章は忘れがたい美しさで、北海道で生まれ育った私には、無人の自然界を描くその音に、強い郷愁を感じる。 一方で、アルヴェーンの作品では、力強く雄大な響きや推進力とともに、情感に満ちた響きをたっぷりと引き出しており、これらの楽曲にふさわしい豪壮さに満ちている。特に有名な「エレジー」における弦と木管の紡ぎだす哀しい色彩は忘れがたい。「サラバンド」や「ブーレ」といった古典的な舞曲も、アルヴェーンらしい調和的な響きが、自然に引き出されている。終曲となる「ブライテンフェルト、戦闘画」は、途中からの力感に満ちた推進力と、金管の恰幅ある響きが素晴らしい。 収録曲それぞれにおいて、当該曲を代表するといってよい名演が示されている。 |
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